純氷(じゅんぴょう)の話



①氷工房にはし移転しました
「舞阪純氷・浜松純氷」とは
③純氷(じゅんぴょう)の大きさと重さ

④氷彫刻の氷が溶ける」意味の違い

⑤取材のお問い合わせについて
※2024年から舞阪純氷は生産を休止しています。
2024年7月現在
 
 
 
   
 
    
 
 
 

2019年4月工房の建物老朽化のため移転しました。
28年間ありがとうございました。
  以前の工房の建物はラーメン店「福好」から受け継いだもので
 私が工房を開業して28年になりますが

 
外観と一部の内装は当時のままに使っていました。

  ごらんのとおりの古い建物なので
 「どうしてこんな古い(ボロい)建物に住んでいるのか」と
 言われることもよくあります。

  当時、浜松で氷彫刻が知られていないころ
 工房を開く場所を探していた私に
 「古いけれどここを拠点にしてみないか?」と
 繁盛しているご自分の商売をやめて
 貸してくれました。

  残念ながらその数年後に
 お亡くなりになられてしまいました。

 この方のおかげで浜松に工房を開き
 氷彫刻を続けることができています。


  一年でも一月でも長く使い続けたかったのですが
 建物は60年以上経過していて
 かなりの老朽化のため取り壊しになりました。
 長い間大変お世話になりました


  2019年4月から新工房で営業していますので
 今後ともよろしくお願いいたします。
 
移転前
築60年の旧工房



新工房の住所 
〒431-1305
 静岡県浜松市
浜名区細江町気賀10629-7
 携帯:090-2188-4123

②「舞阪(まいさか)純氷」と           
   「浜松純氷(ソーラーアイス)

全国でも浜松だけの2種類のプレミアム純氷!!
通常の純氷との違い
 
 ※2023年7月から舞阪純氷は生産を休止しています。
磐田市にある「昭和製氷」の純氷を販売しています。
 どちらもこだわりの高品質な氷です!

  氷彫刻に使用する氷は食用にできますか?
 という質問を受けることがありますが
 「最上級の美味しい氷だけ」が彫刻用になります。
 できるだけ不純物が少なく溶けにくい氷が彫刻には必要なので
 一般の流通している食用以上に硬く溶けにくい
 純粋でクセの無い氷です。

 ◎全国の製氷会社が作る「純氷」
  全国の製氷会社で作っている氷は、
 水を撹拌しながら
-10℃前後の温度で
 2日間(48時間)
かけてゆっくり凍らせた
 不純物(主に空気)の少ない
「純氷」と呼ばれるブランド氷です。
 溶けにくく硬い性質を持ちます。

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◎舞阪製氷(株)が作る
      「舞阪純氷」

 ※2023年7月から舞阪純氷は生産を休止しています。

  創業106年(2024年現在)の
舞阪製氷(株)は
 国内唯一、大正時代に作られたレンガ造りの建物で製氷しています。
 昔ながらのコンクリート水槽を使った設備で
 この周りもレンガで囲われています。
 職人さんが手間と時間をかけた硬い氷にこだわり
 製氷のためのブラインと呼ばれる水槽の塩水の温度を
 -7~-8℃前後の高い温度で
 ゆっくりと通年
5日間(120時間)かけ
 完成までに
※2度の水抜きをして製氷しています。
  ※水抜きとは氷が外側から中心に向かって凍っていく途中に
  中心には空気の多く集まったまだ凍る前の水があります。
  その水をポンプで吸い出して新しい水を補充する作業のこと。
  水抜きをしないで凍らせると不透明な部分が多い氷になってしまいます。

  国内トップクラスの硬さと溶けにくさを誇り、特に氷彫刻には最適です。
 飲み物に入れても溶けにくいため薄まらず、冷やしながら味も変えにくい氷です。
 後味にほんの少し水の味が感じられる昔ながらの氷です。

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◎浜松委託倉庫(株)が作る
      「浜松純氷(ソーラーアイス)」
  ソーラー発電の電気を使って製氷しているので(ソーラーアイス)といいます。
 
 浜松委託倉庫コールドセンターが
 CO2を触媒に使った最先端の設備で
 地下100mの天竜川の伏流水をろ過して使い、
 水質と安心安全な美味しい水に徹底してこだわり
 -8℃前後の高い温度で2日間(48時間)かけ
 完成までに1度水抜きをして製氷しています。

  通常の純氷より硬く溶けにくいうえに透明度が高く、クセがほとんどないクリアーな味は
 飲み物はもちろん、かき氷には特に合います。
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 ※舞阪純氷の135㎏の角氷は
 7月上旬~8月下旬までは品切れになり
 お取り扱いできないことが多くあります。
 


純氷の大きさと重さ
  氷1本の大きさは300ポンド(135kg、36貫目)
 1貫目3.75kg⇒約12.5㎝角のサイコロ型×2ブロック
 販売は1貫目単位で、かき氷機には2分の1貫目が乗ります。

  
135kgをカットして販売するので
 細かく切れば切るほど歩留まりは少なくなります。


  
良く見るとコンビニ等で販売している氷は
 1.1kgとか1.7kgとか半端な大きさですが

 
元の36貫目の氷をカットしていくため自然と
 半端な重さになってしまいます。

 
例えば1貫目は36個にカットするため
 すでに切ったロスが出て目減りしています。

  切ったロスを含めて考えると
 
1貫目(3.75㎏)を1/2にカットすれば1.7kg
 1/3にカットすれば1.1kg
 といったようになります。
 
最近では純氷からカットやクラッシュしたものでも
 1kgや2kgで売っているものもあります。

  製氷機で作った板氷をクラッシュしているものもありますが
 クラッシュした氷を袋の上からつまむと
 上下が平行になっている最大の厚さが約3cmぐらいで
 純氷との違いが分かります。
 純氷のほうが溶けにくく長持ちします。

 

 ◎1貫目でかき氷何杯?

  1貫目で何人前取れますか?とご質問をいただきますが
 カップの大きさ、またシロップを何回かけるかによって倍以上大きく違います。
 ケーキ店や甘味処では12~14杯ぐらいとっています。
 私の工房では約12杯取っています。

 一般的によく見かける小さな発泡スチロールの器は約20~30杯
 コップ型のものは15~20杯ぐらいです。

 器を決めれば取れる杯数が決まります。

 シロップも1回掛け2回掛け3回掛けで大きく違い
 多い回数のほうが氷が溶けて少なくなりますので
 取れる数は減ってきます。


④氷彫刻の「氷が溶ける」意味の違い 

  ◎氷彫刻の「氷が溶ける」という意味の違い
  
  氷は溶けますが、一般の方の「溶ける」と
 氷彫刻での「溶ける」とではかなり大きな違いがあります。
 
 氷彫刻において 「氷が溶ける」とは
 見た目は氷の塊であっても
 氷自体はすでに劣化して溶けている状態のことで
 チョコレートに例えると、見た目は個体であっても
 触るとやわらかい状態を言います。

 
透明になると「溶ける」状態のようになります。

 
人物を彫刻して常温で展示すると
 すぐに顔が溶けてのっぺらと平面になってきます。
 でも氷の塊としては90パーセント以上残っていて
 冷やし用としては十分使えますが
 氷彫刻としては「溶けた」ことになります。


 
1)一般的な氷が溶ける意味
 
 みなさんがよく目にする氷は
 グラスに入れて飲み物を注ぎ小さくなって溶けていく状態

 水の中に入れた物を見ることが多いと思います。

 生ぬるい液体ではみるみる小さくなって無くなってしまいます。

 
2)パーティやイベントで飾る氷彫刻が溶けるという意味
  
氷彫刻は溶けはじめると透明になりライトの光で輝いてきます。
 同時に作品の形が変化して行くのでこの
 「溶けはじめる状態を氷が溶ける」と表現します。
 溶けてなくなるという意味ではありません。


  婚礼やパーティの打ち合わせで、溶けるというお話をすると 
 氷自体が溶けて無くなるイメージがあるようですが

 
氷彫刻では形が変化し始めてくる状態を「溶ける」ということが多いのです。

 
 たとえば3時間飾ると作品は溶けて少しずつ形が変わっていきますが
 氷として言えば500kgのものがまだ450kgも残っているくらいです。

 「純氷」は溶けにくいのですべて水になるにはとても時間がかかります。


 
3)氷を彫刻するときの溶けるという意味
  冷凍室で制作するときは良いのですが
 大きな冷凍室があるところは少ないので
 常温で彫刻するときは温度差で割れないように
 氷の中心温度を上げておきます。
 氷が少しずつ溶けていくので早く彫らなくてはいけないのですが
 目安として氷の中に細かなヒビ(のようなもの)ができないうちに完成させます。
 
 
ヒビが出始めると特に再冷凍がきかず元の溶けにくい氷に戻ることはありません。

  「純氷」を製氷するときにはキレイに整列している水の分子が
 溶け始めると劣化してほどけていくような状態で
 ヒビのようなものが出始めます。
 このまま進むと霜柱のようになり手で簡単に崩れてきます。

  
直射日光ではなく反射光でも30分もしないうちに劣化するので
 閉め切った部屋の蛍光灯の灯りの中で彫刻します。
 LEDでは劣化しにくいものもあるようですが
 電灯の中では蛍光灯が一番溶けにくい気がします。


 4)撮影用で氷の劣化
(溶ける)という意味
  撮影用で強いライトをあてるとわずか3分も持たずに
 氷の中に多くのヒビが現われ
わずかな時間で
氷全体に広がり
 濁って不透明な氷になってしまいます。
 
 
  
このヒビが現れはじめた状態を私は氷の劣化と呼び
 大きさは変わらないのですがすでに溶けています。
 溶けるという表現が当てはまるかわかりませんが、もう使えません。
 
  ヒビが少しでも現れはじめた時点で再冷凍がきかなくなり、
 いったん冷凍室で凍らせても常温に出すとすぐに溶けはじめます。

  整列した水の分子がほどけた状態で再冷凍するからだそうで
 
冷凍庫の中で凍らせてあっても
 氷自体はすでに溶けている
(劣化)ということになります。

  テレビ局のスタジオ等でリハーサルに数分間使用しただけで
 形は完全に残っていても
 氷が濁り溶けやすく本番ではもう使えなくなります。

 お客様から注文をいただいた作品を撮影するのも同じで
 ライトを当てたりしていると氷が劣化して
 食べ物で言えば注文の品に箸を付けたことと同じになってしまいます。
 
 たかが氷かもしれませんが取り扱いが大変難しい生き物です。

 4)その他の溶ける(劣化)ということ
 ◎
直射日光は溶けるより早く氷を劣化させ
 すぐに細かなヒビが入り霜柱のようになります。
 不透明なもろい氷に変化した後、溶けていきます。
 夏のイベントでも、「溶けるから片付けは楽」と思われがちですが
 例えば1トンの氷彫刻を5時間飾っても500kg以上残ることは普通にあります。
 夕方や夜の日が沈んでからは一気に溶けにくくなります。

  屋外に展示するとき直射日光があたった氷は崩れて大変危険です。

 直射日光でなくても日の反射光や紫外線また赤外線でも
 わずか数分で劣化していきます。


 
◎ご存知の方も多いことですが氷に『風』は大敵です。
 冷風を送るために扇風機の前に氷を置くことがありますが
 見ている間に驚くほどのスピードで溶けていきます。

  夏の
「エアコンの冷風の前に置いて涼しくすれば長持ちですか?」
 というご質問でも答えは同じで

 たとえ冷たい風であってもすぐに溶けてしまいます。


  劣化した氷は水っぽくなってしまうので
 
飲み物に入れたりかき氷にしても美味しくありません。
 元がどんなに良い氷でも冷やし用に使ってください。




⑤取材お問い合わせについて

  各メディアの皆様、いつも多くの取材のお問い合わせ
 テレビ出演等のご依頼をいただきまことにありがとうございます。
 
  工房ではお客様からの注文があれば氷の仕入れから搬入
 またお客様からの了解をいただければ
 パーティ・イベント会場でのパフォーマンスや
 氷彫刻のセッティングの取材もお受けできます。

  その際は会場担当者と打ち合わせをしていただき
 一部ですがトラブルもありますので、特別なことでなく
 あいさつ等一般常識内の良識あるご配慮を
 くれぐれもお願いいたしております。

  ただ、フローラルアイスや氷彫刻は常に保管してありません。
 工房やテレビスタジオ等での撮影・収録では新しく制作するため
 氷彫刻制作料、パフォーマンス料、出演料等をいただいています。
 ご了承ください。
 
  なお、お客様からご注文をいただいた彫刻の制作風景
 完成作品の撮影についてはお受けしていません。
 常温の室内で制作するためライトを当てたり、
 撮影のため冷凍庫に保管するまでに時間がかかると
 
「※氷が劣化」して
 いったん冷凍庫で保存しても、
 会場で展示した時にすぐに溶け始めてしまいます。
「※氷が劣化」⇒④氷彫刻の「氷が溶ける」という意味の違いを参照

  すぐに氷の中に白い筋の様なものが現れ、
 透明だった氷が濁ってきます。
 特にスタジオのライトでは3分も持たず劣化します。
 直接ご覧になられると変化していく様子が良くわかります。
  
  料理に例えると、一度箸をつけたものを
 お客様にお出しするということになりますので
 お客様から注文をいただいた作品の撮影はお断りしています。




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