純氷(じゅんぴょう)の話



①氷工房にはし移転しました
「舞阪純氷・浜松純氷」とは
③純氷(じゅんぴょう)の大きさと重さ

④氷彫刻の「氷が溶ける」意味の違い

⑤取材のお問い合わせについて


2025年5月現在
 
 
 
   
 
    
 
 
  

   


2019年4月工房の建物老朽化のため移転しました。
28年間ありがとうございました。

②「舞阪(まいさか)純氷と
「浜松純氷」(ソーラーアイス)
全国でも浜松だけの2種類のプレミアム純氷

 2023年7月から
舞阪純氷は生産を休止しています。


  どちらもこだわりの高品質な氷です。

 氷彫刻に使用する氷は食用にできますか?
 という質問を受けることがありますが
 「最上級の美味しい氷だけ」が彫刻用になります。
 できるだけ不純物が少なく溶けにくい氷が
 氷彫刻には必要なので、 一般の食用以上に
 硬く溶けにくい純粋でクセの無い氷です。


◎全国の製氷会社が作る「純氷」
 全国の製氷会社で作っている氷は、
 水を撹拌しながら
-10℃前後の温度で
 2日間(48時間)
かけてゆっくり凍らせた
 不純物(主に空気)の少ない
「純氷」
 呼ばれるブランド氷です。
 溶けにくく硬い性質を持ちます。


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◎舞阪製氷が(株)が作る舞阪純氷
 ※2023年7月から
 舞阪製氷は生産を休止しています。

 創業105年(2023年7月まで)の
 国内唯一、大正時代に作られた
 レンガ造りの建物で製氷しています。

 昔ながらのコンクリート水槽を使った設備で
 この周りもレンガで囲われています。
 職人さんが手間と時間をかけた硬い氷にこだわり
 製氷のためのブラインと呼ばれる水槽の塩水の温度を
 -7~-8℃前後の高い温度で
 ゆっくりと通年
5日間(120時間)かけ
 完成までに
※2度の水抜きをして製氷しています。

 ※水抜きとは
 氷が外側から中心に向かって凍っていく途中に
 中心には空気の多く集まった
 まだ凍る前の水があります。
 その水をポンプで吸い出して
 新しい水を補充する作業のこと。
 水抜きをしないで凍らせると
 不透明な部分が多い氷になってしまいます。

 国内トップクラスの硬さと溶けにくさを誇り
 特に氷彫刻には最適です。
 飲み物に入れても溶けにくいため薄まらず
 冷やしながら味も変えにくい氷です。
 後味にほんの少し水の味が感じられる
 昔ながらの氷です。

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◎浜松委託倉庫(株)が作る
    「浜松純氷」(ソーラーアイス)

 ソーラー発電の電気を使って製氷しているので
 ソーラーアイスといいます。

 浜松委託倉庫コールドセンターが
 CO2を触媒に使った最先端の設備で
 地下100mの天竜川の伏流水をろ過して使い、
 水質と安心安全な美味しい水に徹底してこだわり
 -8℃前後の高い温度で
 2~3日間
(48~72時間)かけ
 完成までに2度水抜きをして製氷しています。


  通常の純氷より硬く溶けにくいうえに透明度が高く
 クセがほとんどないクリアーな味は
 飲み物はもちろん、かき氷には特に合います。




純氷の大きさと重さ


  ◎氷は貫目単位の販売で
   kg販売はありません。

  市販のかき氷機も貫目氷に合わせて作られています。


 氷は貫目単位の販売でkg販売はありません。
 氷1本の大きさは300ポンド(135kg、36貫目)
 1貫目3.75kg⇒約12.5cm角×2ブロック

 かき氷機は1/2貫目に合わせてできています。
 1本36貫目を細かくカットして販売するので
 細かく切れば切るほど歩留まりは少なくなります。

 コンビニなどで販売している氷が
 1.1kg(約1/4貫目)や
 1.7kg(約1/2貫目)など半端な理由は
 元の36貫目の氷をカットしたためです。

◎袋入りクラッシュアイス
 純氷をクラッシュしたものです。

 製氷機械で作った物も販売されていますが
 見た目は同じでもこちらは早く溶けてしまいます。
 その分安価なので必要に応じて使用してください。

 ※純氷との違いを見分けるには
 製氷機械の氷は薄い板のため袋の上から氷をつまむと
 上下が3~4cmの平行になっています。

 ◎1貫目でかき氷何杯?


 1貫目で何杯とれますか?と質問をいただきますが
 カップの大きさ、シロップを何回かけるかによって
 倍以上の違いが出てきます。
 器をの大きさを決めれば取れる杯数がほぼ決まります。

 かき氷店では10杯~14杯
 コップ型の器は20杯前後
 小さな発泡スチロールの器なら25~30杯とれます。
 



◎氷彫刻において 「氷が溶ける」とは

 見た目は氷の塊であっても
 氷自体はすでに劣化して溶けている状態のことで
 チョコレートに例えると、見た目は個体であっても
 触るとやわらかい状態を言います。
 透明になると「溶ける」状態のようになります。


 人物を彫刻して常温で展示すると
 すぐに顔が溶けてのっぺらと平面になってきます。
 でも氷の塊としては90パーセント以上残っていて
 冷やし用としては十分使えますが
 氷彫刻としては「溶けた」ことになります。

1)一般に氷が溶けるという意味
 氷をグラスに入れ飲み物を注ぐと溶けて小さくなり
 最後は溶けてなくなります。
 これを溶けると表現することが多いです。


2)パーティやイベントで飾る氷彫刻が「溶ける」意味
 氷彫刻は溶ける透明になりライトの光で輝きます。
 水が出始めた状態を「溶ける」といい
 溶けてなくなることではありません。

 婚礼やパーティの打ち合わせで
 氷彫刻の展示は溶けるというお話をすると
 溶けてなくなるイメージを想像されることがありますが
 形が変化し始めてくる状態を「溶ける」といいます。
 真夏でも3時間は展示できるように制作しています。

 たとえば500kgの彫刻を3時間飾ると
 作品は溶けて少しずつ形が変わっていきますが
 氷の塊から見ると500kgの重さの氷が
 まだ450kgも残っているくらいです。
 純氷は溶けにくいので溶けきるには
 一日以上かかります。



3)氷を彫刻するときの「溶ける」という意味

 一般の方からすると一番分かりにくい「溶ける」です。
 冷凍室で制作するときは良いのですが
 常温や反射光(直射日光ではない)の場合
 約30分ぐらいか、屋外だと早ければ10分ほどで
 氷の中に細かな糸のようなものが現れます。

 ほとんど形は変わっていませんが
 これは氷が傷み始めたサインなので
 これを「溶ける」といいます。
 そのまま時間がたつとそこから水が入り
 最後は鉛筆のような結晶に変化して
 ぼろぼろと崩れてきます。

 糸状の物が見え始めて時間がたった氷は
 再冷凍しても元の氷の状態には戻らず
 常温に出すといきなり溶け始めます。

 製氷した時に整列していた分子がほどけた状態で
 再冷凍してもほどけたままなので溶けやすいため
 風や光を当てず早く彫ることが大事になります。
 


 
4)その他の「溶ける」劣化、傷み

 最大の要因「①風」と「②直射日光」

 両方とも氷にしてみれば大敵ですが
 意外と知られていないのが、日光より風のほうが
 さらに早く溶けるということです。
 強風は氷を溶かし、日光は氷を傷めて劣化させます。
 冷房でも風が当たればすぐに溶けます。

 でも、通常はそれほどの強風の中で行うことはなく
 テントの中など、風と直射日光を遮った所で
 実演パフォーマンスは行います。
  
 テント等がなく、風や日光が遮れない場所での
展示や実演パフォーマンスはお断りしています。

5)大きな氷塊(数100㎏)は
     思っているほどは溶けない

 氷は溶けるから片付けが楽だと思われますが
 大きさ、時間、場所によります。

 イベントでは1トンぐらいの氷を使うことが
 多くあります。
 数10kgの塊は早く溶けますが
 数100kgとなると溶けにくいことがあります。
 特に夜間や日陰で風が当たらなければ
 思っている以上に長持ちし氷塊として残ります。

 彫刻としては溶けて形が崩れますが
 3~4時間のイベントでも氷塊としては残ります。
 1トンの彫刻が300kg溶けても700kgは残るので
 未経験の方では片付けることができません。

 終了後、片付けはイベント会社さんが
 やりますといわれることがありますが
 ほとんど翌日、重くて時間がかかり大変だったと
 連絡をもらいます。




⑤取材お問い合わせについて

  各メディアの皆様、いつも多くの取材のお問い合わせ
 テレビ出演等のご依頼をいただき
 まことにありがとうございます。

  フローラルアイスや氷彫刻は保管してありません。
 工房やテレビスタジオ等での撮影・収録では
 新しく制作するため氷彫刻制作料、パフォーマンス料、
 出演料等をいただいていますのでご了承ください。
 作品を買い取っていただくようになります。

 
  注文いただいたお客様の了解をいただければ
 パーティ・イベント会場でのパフォーマンスや
 氷彫刻のセッティングの取材もお受けできます。

  その際は会場担当者と打ち合わせをしていただき
 一部ですがトラブルもありますので、特別なことでなく
 あいさつ等一般常識内の良識あるご配慮を
 くれぐれもお願いいたしております。
 
  なお、お客様からご注文をいただいた彫刻の制作風景
 完成作品の撮影についてはお受けしていません。
 常温の室内で制作するためライトを当てたり、
 撮影のため冷凍庫に保管するまでに時間がかかると
 氷が劣化して
いったん冷凍庫で保存しても
 会場で展示した時にすぐに溶け始めてしまいます。

  すぐに氷の中に白い筋の様なものが現れ、
 透明だった氷が濁ってきます。
 特にスタジオのライトでは3分も持たず劣化します。
 直接ご覧になられると変化していく様子が
 良くわかります。

  料理に例えると、一度箸をつけたものを
 お客様にお出しするということになりますので
 お客様から注文をいただいた作品の
 撮影はお断りしています。




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